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2011/05/13 (Fri) 東北巡礼 その1
2011/01/02 (Sun) 万治の石仏
2011/01/01 (Sat) 諏訪大社 蛙狩神事

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6月15日

房総南部、富津市と鋸南町の境にある鋸山に行ってみた。
学生時代に一度行ったことがあるが、その時ロープウェイで山頂まで行き、
景色を眺めただけで帰ってしまったので、
じっくりと見てまわるのは初めてだった。

東口の駐車場に車を停め、入山料を払い、石段を程なく登ると大黒堂がある。
そこから右手に進むと開けた場所に出た。
岩肌に巨大な磨崖仏が掘られている。

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日本寺大仏。正式には薬師瑠璃光如来。
宇宙全体が蓮華蔵世界たる浄土であることをあらわしたもの。
日本一の大きさを誇る大仏で、原型は天明3年(1783)に
大野甚五郎英令が門弟と共に3年を費やして作ったもの。
自然のままに崩壊していたものを、
昭和44年に4年の歳月をかけ再現したものが現在の大仏だ。

鋸山は正式には乾坤山日本寺といい、山全体が境内となっている。
歴史は古く、聖武天皇の勅願で行基によって
神亀2年(725)に開山されたとされている。
法相宗→天台宗→真言宗を経て、曹洞宗に落ち着いている。
最盛期には七堂十二院百坊を有する規模を誇ったそうだが、
廃仏毀釈と昭和14年の火災で本堂を含めたほとんどの建物を失っているので、
現在では大仏や無数に掘られた石仏が残るのみだ。

山には無数の道があり参詣ルートを迷ったが、
とりあえず真っ直ぐ登っていくことにした。
目についたものを記録していったので、順不同で紹介する。

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   ・
   ・
   ・

ものすごく疲れた…
精神的に疲れた。
大仏を作った大野英令は鋸山に留まり、命果てるまで石仏を掘り続けたそうだ。
だが軟らかい石質故に風化が進み、さらには廃仏毀釈で首を刎ねられ、
ちょっと正視しがたい状態になっている。
保護のための鉄格子がまた…


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山頂に出た。
切り立った崖の上から房総半島の内陸部が見渡せる。
といっても、山、山、山があるだけだけど…

日本寺の裏側はかつて採石場になっていた。
軟らかく加工しやすい石質は房総石(金谷石)として大量に切り出されたが、
建材技術の向上と共に、もろい房総石よりもより頑丈な大谷石、
またはコンクリートに取って変わられた。
江戸時代から続く採石場は、昭和末期に歴史を閉じた。
山頂から垂直に削り取られた崖は人の手によるもの。
よくぞここまで切り出したものだ、と驚きを隠せない。
鋸山の名前は、切り立った岩肌が鋸の刃の如く見えることの由来する。

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下山途中、百尺観音へ続く道があった。
正直もうお腹がいっぱいだったのだが、折角なので寄ってみた。
かなり高さのある切通しの間を抜け、辿り着いた広場は先程の崖の下だった。

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百尺観音。
着工は昭和41年、6年の歳月をかけて作られた百尺(30.3m)の磨崖仏。
日本寺大仏の着工時期と重なることから、
この時期に鋸山の再興活動があったことが伺える。
「戦没者の供養」「交通犠牲者供養」の祈りを込めて作られた観音像だそうだ。

ふと大谷観音を思い出した。
大谷石の採石場にある磨崖仏で、これもまたかなり巨大なもの。
岩肌を削り去った後、残された空白を目の当たりにすると、
人は仏像を掘りたくなるのだろうか。
山は先祖代々守ってきた聖地。
それを切り売りしたことに対するせめてもの償いなのかな。
余談だが、旅をして回っていると、聖地と呼ばれていた場所が削られ、
見るも無残な姿になっている光景をしばしば見掛ける。
山に限らず、森の木々や土地もそうだ。
自然はもはや地球のものではなく、人間のため資源として費やされていく。
切り売りしたその先には残骸しか残らない。
そうなった時、土地の人は先祖からの土地を捨てるしかなくなるんだろうな…

鋸山は色々と考えさせられる場所だった。
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