今年の初仕事は三浦半島の先端の、とある施設の撮影だった。
いつもは電車で行く仕事なのだけど、電車の便がすこぶる悪いことと、
仕事後に海でも見たいな、との個人的な欲求から、
この日の仕事は車で現地に直行。
仕事は終わり、まだ明るかったので、
のんびりと海岸を帰ることに。
どこか途中で海でも眺めたいな、と思っていたら、
たどり着いたのが秋谷の立石海岸。
ここは以前、前を通りかかったことがあるが、
夏の混雑でとても駐車できる状況じゃなかったので見送ったことがある。
その時の記憶が一気に蘇ってきたので、立ち寄ってみることにした。
立石海岸の立石とは、その名の通り、海にそそり立つ巨大な岩。
高さ12m、周囲30m。
約2500万年前に海底に積み重なってできた凝灰岩の地層で、
海面が下がるとともに姿を現し、以来、波に削られ今のような姿になったという。
駐車場に車を乗り入れると、冬だというのに車がいっぱい。
予備知識をまったく入れてこなかったので、その時は知らなかったが、
どうやら立石海岸は夕日のスポットとして有名とのことだった。
天気がよいと、遠く海に向こうに富士山が見えるそうで、
初代安藤広重の「相州三浦秋屋の里」にも、ここの風景が描かれている。
とりあえず海岸に降りて、「ぼんてん」と呼ばれる岩礁を歩いてみた。
足場は意外としっかりしていて、釣りをするおじさんがいたり、
潮だまりには水中観察をする子供連れの家族がいたり、
かと思えばブーツを履いた女の子がきゃーきゃー言っていたり。
私と言えば、海岸に立ったときの常で、ついつい石笛を探してしまったり。
石笛は結構大きなものを見つけたので、確保。
葉山周辺の海岸は、泥岩の石笛がわりと転がっているようだ。
「ぼんてん」の先端に座って石笛を吹いたりぼんやりしたりしているうちに、
すっかり日が傾いてしまった。
この日は実は、仕事の時は空がどんより曇っていて、
オーシャンビューっぽさを出すのに苦労したが、
夕暮れになるとすっかり空は晴れ渡っていた。
これは夕日を期待できそうだ。
たまたま通りかかったわりには、運が良い。
しかも仕事帰りなので、撮影機材もばっちり。
立石の前に三脚を立てる。
あとは、夕暮れを静かに待つのみ。
波が寄せては返し、雲が流れ、太陽が沈みゆく光景をずっと眺めていた。
立石は、当然ながら、全く動きもしない。
ただただ光に映し出され、ただただ影を落としていく。
移ろいゆくものと、変わらないもの。
私はただただ圧倒されるだけだった。
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