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2011/05/13 (Fri) 東北巡礼 その1
2011/01/02 (Sun) 万治の石仏
2011/01/01 (Sat) 諏訪大社 蛙狩神事

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5月8日夕刻。

熊野速玉神社は観光客であふれかえり、
とても居たたまれなくなって、熊野元宮と言われる神倉神社に向かった。
速玉神社と神倉神社は神倉山の山道で繋がっており、
距離もそんなに離れていない。
実は過去に一度訪れたことがあったが、
その頃はまだ神社にはさほど興味がなく、
ただ名所と言うことだけで速玉神社を訪れたのだった。
その時に、山道に迷い込み、偶然たどり着いたのが、
神倉神社だった。
その時見た神倉神社の光景は、私の脳裏に深く刻み込まれた。
いずれまた訪れてみたいと思っていた場所であり、
私にとって、熊野散策の真の目的地とも言える場所であった。

そんな思いを胸に、今回は山道ではなく道路を通って
神倉神社にたどり着いた。
正面から訪れたのは初めてだったのでうかつだったが、
源頼朝寄進と言われる鎌倉積みの急勾配の石段が待ちかまえていた。
これはキツイ。案の定、妻は根を上げて車に戻ってしまった。
山の神の機嫌を損ねると後が怖いのだが、
せっかくここまで来たのだ、私は一人で先を急いだ。

石段を登っていくと、途中で道が分かれていた。
おそらく、以前来たときは、この分岐の
どちらかを辿ってきたのだろう。
これは間違えると速玉神社まで歩くはめになってしまう。
迷っていると、向かって左の石段に、
青い鳥が降り立つのが見えた。
きれいな鳥だったので、引き寄せられるように近づくと、
ちょっと飛んでは、また石段の先に降り立つ。
どうもこれは、導かれているとしか思えない。
ここは熊野、八咫烏ではないけれど、
鳥の導きには従うべきだろう。

20070508-170934.jpg


青い鳥は、私が進路を決めると、
納得したように飛び去っていった。
(最近この手の話が多いなぁ(^^;)
 でも誇張ではなく本当なのだ。)

急勾配の石段を登り切ると、一気に汗が噴き出してきた。
岩を削りだした手水舎で手を洗い清め、
玉垣に囲まれた空間に足を踏み入れた。

およそ神社の境内とはかけ離れた空間。
切り立った崖の上に、巨大な岩がずしんと座り、
その上にさらに丸い大岩数個が、どすんと置いてある。
転がり落ちたらひとたまりも無いだろうが、
推定創建年代128年頃、いやそれ以前、
神話で言うところの神武東征以前から、
この光景は変わっていないようだ。

20070508-172706.jpg




土台の巨大な岩は袈裟岩、上に乗っている岩はゴトビキ岩。
ゴトビキとはヒキガエルの方言で、
岩の形がカエルが座った形に似ているということである。
またの名を”琴引岩”とも言うらしい。
琴と言えば、古代には神託を受ける際、
琴の調べが重要な意味を持っていたようだ。
三韓征伐の際、仲哀天皇が神託を信じられず、
琴を弾く手を止めてしまったことが思い浮かぶ。
もしかしたら琴引岩という名は、
そのような神事の名残なのかもしれない。

20070508-172058_1.jpg


注連縄を張ったゴトビキ岩の周りには、
同じくらい大きな岩が並んでいて、
その中の3つに囲まれた、ちょうど畳1畳分ほど空間に、
白い石が敷き詰められていた。
どこからどう見ても、これは宗教的行事に使う空間だろう。
熊野速玉神社に属する修験者の集団、神倉聖の本拠が、
この神倉神社なので、修行に使われていたのかもしれない。
3つの岩に囲まれた閉ざされた空間は、
私の最も好きな磐座の形態で、
これまで幾例か目の当たりにしてきたが、
白い石が敷き詰められ、現在でも使われていそうな
雰囲気を漂わせているのは、ここ神倉神社が初めてであった。
むろん、前回訪れたときには、この空間には気が付かなかった。
まだ早い、ということだったのだろうか。

ゴトビキ岩の前に立ち、眼下に広がる熊野灘を見渡す。
気持ち良い風が吹き抜けた。
熊野攻略に行き詰まった神武天皇は、天磐盾に登ったという。
その天磐盾こそが、この神倉山だと言われている。
眼下に広がる広大な熊野灘は、
神武にとっては、自分が辿って来た道であり、
唯一の退路でもあった。
危機に立たされた神武は、どういう気持ちで
熊野灘を眺めたのであろうか。

風があまりに気持ちがよいので、
海に向かって石笛を吹いた。
古代の調べとも言われる石笛の甲高い音が、
辺り一面にこだまする。
時の流れがこの空間だけ止まっているような、
心地よい錯覚に包まれた。

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