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2011/05/13 (Fri) 東北巡礼 その2
2011/05/13 (Fri) 東北巡礼 その1
2011/01/02 (Sun) 万治の石仏
2011/01/01 (Sat) 諏訪大社 蛙狩神事

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ここは山形県南陽市のとある峠道。
通行人を見下すように、大きな顔がほくそ笑んでいる。

鬼面石。
先人達も、同じようなことを思っていたのだろう。
鬼面石の説明板にはこのような伝説が記されていた。

「昔…このあたりの金山が盛んであったころ、
 ここ砥石沢の大きな岩の洞穴に鬼が住んでおり、
 ここを通る旅人を襲って金や品物を奪い、人々から恐れられていた。

 鬼は七日びには岩から岩へ渡した長い竿に綺麗な着物を掛けて虫乾した。
 これを見たものは長者になるとも盲目になるとも言い伝えられている。

 人々は今でもこの石を「鬼面石」と呼び
 鬼の着物を乾した岩を「竿掛石」と呼んでいる。」

ふむふむ、鬼の顔をした岩は、なんと鬼の根城だったようだ。
これほど分かりやすい住処も珍しいこと。
どれどれ、鬼とやらに会いに行ってみよう。
急斜面には申し訳程度に道が出来ている。
手摺りも階段もない、踏み固められただけの急坂道だ。
ひいひいと喘ぎながら登っていくと、そこには鬼は居なかった。

近くで見ると、鬼面石はものすごく大きい。
アゴの下に当たる部分がえぐれており、風雨が避けられるようになっている。
きっと鬼はここに住んでいたのであろう。
そして、峠道に旅人を見つけると、
斜面をものすごい勢いで駆け下りていったに違いない。
おっかないことだ。

もぬけの殻の鬼の住居を横目に、さらに斜面を登っていくと、
鬼面石の頭の上に出た。
ちょこんと小さな帽子のように岩が乗っている。
(小さな、といってもかなり大きいが…)

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これは笠石と呼ばれる形式で、色々な場所で見られるものだ。
ちょうど見る角度がよかったのだろうか、
岩の背の曲線が、向こうの山の稜線と重なって見えた。
向こうの山の名は秋葉山。
この笠石は秋葉山のミニチュアなのだろうか。

鬼面石の上に仁王立ちすると、眼下に峠道が一望できる。
壮観のひとこと。

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※大きい写真はこちらをクリック

うん!?
何か居る?

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なんと、赤鬼が山中の工場らしき施設を襲っているではないか!
これはヤバイ、戻ってきたら大変な目に遭う!

私は一目散に逃げ出したのだった。




ところで、この鬼面石伝説には異説があるようだ。
以下は南陽市のHPからの抜粋。

「市内の川樋地区と金山地区を分ける山に鬼面石がある。
 ここには大蛇が住み、金山からの登り口は、「竜の口」とも呼ばれていた。
 大蛇は、時に大雨をふらし、土砂を流して村を埋めたともいわれ、
 おかばみ沢 としておそれられていた。
 その近くの鬼面石は唐戸石とも呼ばれていたが、
 鬼面石には隠れ座頭という仙人が住んでいて、
 旧7月16日の盆には忍びの道具や衣装などを持ち出して、
 向かいの山まで綱を張って虫干しするのだ ったという。
 だから村人は7月17日には山へ入ってはいけないと されてきた。
 ところが、おかばみ沢の大蛇があばれまわる ので、
 たまりかねた仙人は金縛りの術にかけて閉じこめようとした。
 おかばみもさるもの、術を逃れようと騒ぎまわり、
 天を曇らせて大雨を降らしたので、村の人々は生きた心地もしなかったが、
  ついに仙人の術が勝って、おかばみは小さな白蛇に変えられ、
 諏訪明神の使いにされてしまった。
 川樋の諏訪明神は、それから雨乞いの神として信仰されるようになったという」

隠れ座頭という仙人、忍び道具の虫干し…
突っ込みどころが満載であるが、忍びと諏訪明神と言えば…

諏訪信仰伝搬の担い手が甲賀忍者だったので、不思議なことではない。
狩猟を生業にする人々に、肉食免罪符「鹿食免」を売り歩いたのだ。
(※詳しくは過去の日記を参照。)
金山採掘による山林破壊とそれによる鉄砲水や土砂災害を、
なんらかの技術を駆使して食い止めたのか。


気になったので、最寄りの諏訪神社を探してみると、
川樋の諏訪神社が近いことが分かった。
鬼面石の眼下の道を東に抜けたところが、川樋の集落だ。

大きな集落ではないので、諏訪神社はすぐに見つかった。
探すもなにも、祭特有の、大きな対のノボリが出ていたのだ。
境内入り口に共同水場を持つこの神社は、
いかにも村の神社と言った風情だった。

参道に提灯が吊ってあるので、やはり夏祭りなのだろう。
屋台などは出ていないから、こじんまりとした祭なのかもしれない。
石段を登って社殿の前に出てみると・・・

社殿で直会をしているではないか。
しかもみな、相当酒が入っている様子。
案の定、すぐさま呼び止められ、
あれよあれよの間に自分も直会の輪の中に…
自分の父親よりも年上であろう親爺さんに囲まれ、
あれよこれよと質問攻め。
残念ながら運転なのでお酒は飲めない。
まぁまぁ食えよ、と次々に出てくるキュウリ。
ちなみに山形弁なので、キュウリを差し出して「け!」
受け取って「く。」で会話になる(笑)

それはともかく、こんな大きくもない集落の神社に、
若者がひょいと現れたのが不思議でならないらしい。
まぁ当然といえば当然か。
あーだこーだの末、信州諏訪から来た神社写真家、
ということにされてしまった。

ここで得た情報は、「赤湯は素晴らしい」くらいだったが、
貴重な時間を過ごすことが出来た。
お礼に集合写真をパチリ。
世が世なら、諏訪明神の使いとして伝説に残ったかな?(笑)

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思わぬ足止めを食らったお陰で、この日の訪問予定は大幅に変更。
せっかくなので、赤湯に入っていくことにした。
川樋集落からそれほど遠くないようだ。

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国道13号を南下。
山間の道を下っていく途中、急に目の前が開けた。
東洋のアルカディア、米沢盆地だ。
視界の真ん中に小さな湖が見える。
瞬間、車を路側帯に停めた。
なんてことのない湖なのだろうが、妙に惹きつけられた。

その名は白竜湖。

「あるとき置賜(おいたま、当地方の名称)が日照りで雨が降らず、
 あちこちで水争いが起こるようになった。
 村人は毎晩のように雨乞いをしたが、雨は降りそうもない。
 そこへ旅の僧がやってきて、気の毒に思い、天に向かって
 経文を唱えること三日三晩、一天にわかに曇り、
 ぽつり ぽつり雨が落ちてきて、やがてざわざわと風がおきたかと思うと、
 湖から白竜が巻物をくわえて天に昇っていったという。
 それから村人はこの湖を白竜湖と言うようになったという。」
(※南陽市のHPから引用。)

これまでのことを踏まえて考えると、
この地方で雨乞いといえば川樋の諏訪神社。
鬼面石の仙人に退治された大蛇は白蛇に姿を変えて
諏訪明神の使いになった。
とうことは…
白竜湖の竜は、諏訪明神の使いに違いない!


もつれ絡み合う奇妙な縁。
鬼面石に宿るのは、鬼かはたまた仙人か。
ほくそ笑むあの顔が、いつまでも脳裏から離れない。

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(2008年8月3日)


















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