2011/06/15 (Wed) ご挨拶
2011/05/13 (Fri) 東北巡礼 その2
2011/05/13 (Fri) 東北巡礼 その1
2011/01/02 (Sun) 万治の石仏
2011/01/01 (Sat) 諏訪大社 蛙狩神事

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


20070408-144030.jpg




東海の名刹、大興寺。
なだらかに連なる丘、わずかに開けた土地、
その全てが深緑の茶畑に覆われた遠州相良。
緑に囲まれた丘の麓に大興寺は建っている。
いまからおよそ600年前、大徹和尚によって開山された大興寺。
この寺に、無縫石といわれるものがある。

大徹和尚は仏道を説くかたわら、石に関する学識も深く、
那須の殺生石の謎を解いた名僧とも言われている。
その和尚が九十余歳の今際の時、側で見守る門弟たちにこう告げた。
「わしの身代わりとして裏山より石が生まれるであろう。」

果たして裏山の萩間川には、まゆの形をした石が転がっていた。
それ以来代々、大興寺の住職が往生するたびに、
まゆ型の石が生まれ出で、その死と共に転がり落ち、
それを墓石とした。
これまで二十九代に渡り続いているという。
故にこの土地の人々は、荻間川の岸壁に丸い石が顔を出すと、
住職の先が長くないことを噂したそうな。

ある和尚は、この石が顔を出して来たことに気が付き、
夜中にこっそりと抜き取って山へ捨てた。
だが翌朝、石は元の場所に戻っており、
ほどなく石が転がり落ちて、住職は亡くなった。

またある和尚は、五十半ばで重い病にかかり、
まだまだ死にたくはないと思っていたが、
寺の小僧が石を見つけたと知らせに来た。
そこで和尚は、「その石はお前にやろう。」と
小僧に石を譲ってしまった。
小僧は嫌な顔をしたが言い返せず、
3ヶ月後にその石がぽとりと落ちたときに死んでしまった。
一方の和尚はみるみるうちに回復し、長生きしたという。
(非道い話だ…)


この石は、継ぎ目のない綺麗な形をしていることから
「無縫石」と名付けられたが、いつしか遠州七不思議、
子生まれ石と言われるようになったのだ。

20070408-154134.jpg


無縫石の生まれる川原は、大興寺から少し離れた茶畑の中にあった。
細い路地を入ると、萩間川らしき小川を見つけた。
地層が剥き出しになった岸壁に沿って、妙に白い川原が続くいている。
そこが白いのは硫黄か何かの成分だろう。
いわゆる湯ノ花になって底の石に積もっているのだ。

小川に沿って行くと、小さな社があった。

20070408-153854.jpg


中を覗いてみると、丸石がふたつ並んでいた。
まるで甲州の道祖神のようだ。
長寿安産子授之石とある。
壁に掛けられた千羽鶴の多さが、
この石の霊験の強さを物語っている。
まぁ実際の霊験は分からないが、
この近くには温泉が湧いているので、
温泉で体を温めた後、ことに挑めば、
霊験はさらに増すことと思われる。



社まで来れば、後はもう目と鼻の先。
萩間川が大きく湾曲する場所に、
件の崖はあった。

遠目から見ても、何やら崖にポコポコ飛び出しているのが分かる。
壮大な風景とは行かないまでも、静寂の中に奇妙さが漂う空間。
訪れるものを惹きつける何かがそこにはあった。

20070408-152618.jpg

20070408-151924.jpg


小川の水量が少なかったので、岸壁にぐっと近づいてみた。
一枚板に見える岸壁から、唐突に丸い石が顔を覗かせている。
数個の石があったが、どれもが丸い頭をしているのだ。
中にはすでに欠けているものもある。
どれが住職の石なのかは分からないが、
どうも生まれてくる石はまゆ型だけではなく、
まん丸のもの、空豆型のものなど、色々とあるようだ。
綺麗なまゆ型のものを、代々住職の墓石に使ったようである。
小川の周りには、岸壁から生まれたであろう
色々な形の石が転がっていた。


 * * *


科学的には、砂岩が堆積した際に石灰質の核が残ると、
核を中心に周囲の砂が圧縮され、
タマネギのように幾重にも重なり丸い石ができるのだという。
そして周りの柔らかい砂岩が風雨で浸食されると、
丸い石が徐々に顔を出してくるそうである。
言ってしまえば簡単だが、科学知識の乏しい時代には、
奇跡以外の何物でもなかっただろう。
もしかしたら、大徹和尚は石の研究を続けるうちに、
この現象のメカニズムに感づいていたのかもしれない。
それを知りながら、亡くなる直前に予言のような言葉でそれを告げ、
大興寺を奇跡の起こる寺として権威付けしたのならば、
和尚の知恵に感服つかまつるばかりである。

20070408-152718.jpg



















管理者にだけ表示を許可する


Design by mi104c.
Copyright © 2017 風と土の記録, All rights reserved.




上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。