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2011/05/13 (Fri) 東北巡礼 その1
2011/01/02 (Sun) 万治の石仏
2011/01/01 (Sat) 諏訪大社 蛙狩神事

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遠州七不思議の一つに、桜が池の龍神伝説がある。
なんとこの池、諏訪湖に繋がっているというのだ。
私は桜が池をこの目で見たくなり、
先日の遠州紀行の際に立ち寄った。

地図を見るまで実感がなかったのだが、
桜が池は遠州といっても東の端。
それまでは、天竜川流域の流通の関係で
諏訪と繋がる伝説があるのかと思っていたが、
実際に現地に赴いてみると、
そこが天竜川流域とは言えない場所であることが分かった。


御前崎市佐倉にある桜が池は、ちょっとした公園になっていて、
夕方にもかかわらず、ひっきりなしに人が訪れる。
池の側には池宮神社が鎮座し、桜、水に相応しく祭神は瀬織津姫。
桜、もしくは佐倉の由来は、平安の昔、国主の妻”桜御前”が、
この池で水死したことに由来する(遠江風土記伝)。
敏達天皇13年(584年)の創建とされるが、
神殿の造営は、長保3年(1001年)。
古来より、池そのものが神格化され信仰対象になっていたという。

桜が池には奇祭とも言える神事が残っている。
秋の彼岸に行われる「お櫃納め」は、
遠州灘で禊ぎをした屈強の若者たちが、下帯一つで桜が池に入り、
百近くになるお櫃に入れた赤飯を、順次池に沈めるというもの。
このお櫃が諏訪湖に浮いたこともあるという。

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このお櫃を奉納される対象は、大蛇とも龍神と言われているが、
この龍神は実在した人物、天台宗の僧、皇円阿闍梨である。
皇円阿闍梨は、『扶桑略記』を記したことで歴史に名を残すが、
浄土宗の開祖、法然上人の師匠としても名高い。

平安末期のこと。
様々な難行苦行を重ねても仏法の極め難きことを知った皇円阿闍梨、
五十六億七千万年後に出現すると伝わる弥勒菩薩に会い、
その教えによって人々を救おうと考え、
嘉応元年(1169)、身を龍と化し桜が池に入定したという。
お櫃納めは、その後桜が池を訪れた法然上人が
師の安泰と五穀豊穣を願い、お櫃の赤飯を納めたことに由来し、
その後、親鸞上人、熊谷蓮生坊直美によって継承された。
『お櫃納め』は、八百数十年続く歴史ある神事なのである。


桜が池の周囲を歩いてみると、南岸だけが開け、
他三方は丘になっていて、深い森に囲まれていることが分かる。
この地形は、2万年ほど前、地殻の変動により形成された丘陵の谷が、
南からの風や波によって運ばれてきた砂によって
堰き止められたものだという。
従って、池を拝むと自然に諏訪湖を拝する形になるのは、
諏訪湖との伝説になんらかの影響を与えているのかも知れない。
また面白いことに、遠州にはもう一つ諏訪の龍神に関する伝説がある。
遠州七不思議の一つ、池ノ平である。
池ノ平は天竜川流域、遠州北の玄関口に位置する山の中腹、
7年に一度現れるという幻の池である。
9月の半ばに10日ほどしか現れないという池は、
地元の人もほとんど見ることができないと言われているが、
この池は、龍神が桜が池から諏訪湖に帰る途中の休息地である、
という伝説が残っている。
7年というと諏訪の御柱際の周期。
それを踏まえて関連付けた伝説なのだろう。
龍神が天竜川を遡って諏訪湖に帰るとは、まるで鮎や鮭のようだが、
大河の流域に住む人々にとっては、至って普通のことなのだろう。

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池宮神社には資料室があったので、
そこで神官に諏訪での伝説を知っているか聞いてみた。
実は、遠州では諏訪湖に繋がると言われているが、
諏訪ではそうは言われていない。
遠州”サナギの池”に繋がるのは、茅野市の葛井神社の池なのだ。
神官は葛井神社のことは知らなかった。
社史に書かれていること以上の情報は得られなかったが、
葛井と聞いて、「九頭竜?」と聞き直してきたことが気になった。

  * * *  

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果たして、葛井神社には確かに池があった。
葛井神社の祭神は槻井泉神。
だが桜が池同様、古来より池そのものが信仰対象だったという。
従って神社の本殿も、池を背にして建っている
葛井神社の神事は、「御手幣送り神事」。
大晦日の深夜に幣帛を池に投げ入れると、
これが翌朝、遠州サナギの池に浮かぶというのだ。
その”サナギの池”が、”桜が池”ではないかと言われている。

約700年前の書物に、既にこの神事のことが記述されている。
記述によると、「参拝者は死人のフリをして地面に伏す」やら、
「帰るときは刀をくわえる。これに行き会ったものは必ず死ぬ」
などと、物騒なことが書かれている。
もちろん現在はそのようなことは無く、
幣帛を投げ入れるだけなのだが、
ちゃんと御手幣送り神事は継続している。

興味深いことに、葛井神社の代々の神主は九頭井氏といい、
葛井神社も別名”九頭井明神”と言うそうである。


さて、九頭竜とお櫃納めと聞くと、箱根神社との関連が浮かぶ。
毎年7月31日、箱根神社では芦ノ湖の守護神九頭龍大神に
三升三合三勺の赤飯をお供えする特殊神事・湖水祭が行われるという。
富士講の外八海に含まれる芦ノ湖、桜が池、諏訪湖(葛井池だが…)
に共通する、水に関する神事、
密教の守護神である九頭龍の影。
なにやら深い関わりがありそうである。




















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